生成AIが評価を変える
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生成AIが評価を変える

公開日
March 16, 2026
カテゴリ
授業
タグ
考察
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プロセスを評価することの意義

 生成AIの登場によって、授業評価のあり方が大きく揺らいでいます。特に問題になっているのは、最終成果物の評価です。レポート課題のように、これまで成績評価の中心としてきた成果物が、生成AIを使えば比較的容易に作成できるようになりました。その結果、「これまで通りの方法では評価できなくなっている」という議論が出ているのです。

 その議論の中でしばしば聞かれるのが、「最終成果物だけでなく、プロセスを評価すればよい」という意見です。たとえば、レポート課題は生成AIとのやり取りのログを提出させて、成果物と合わせて評価すればよいというものです。

 このような意見は、一見もっともらしく聞こえます。しかし、プロセスの評価は生成AIの登場と関係なく、以前から行われています。授業中の活動や提出物に対してコメントを返すことは、形成的評価(フィードバック)として行われているものです。レポートの例で言えば、学生に生成AIとのやり取りを提出させるとして教員がすべきなのは、その使い方が適切かどうかをフィードバックし、よりよいレポートに仕上げていくための支援をすることです。

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プロセス評価と成績評価は別物

 授業において教員は、設定した到達目標に学生がどれだけ到達したかを測定し、その結果を評価して成績として出します。すなわち、たとえ一生懸命頑張ったとしても、到達目標に届かなければ、成績としては評価されないのです。もちろん、プロセスはどうでも良いというわけではありません。教員もプロセスを大切にします。ただ、プロセスは、フィードバックの材料なのです。なぜなら、授業における教員の役割は、全受講生を到達目標に導くことだからです。教員は、学生の学習プロセスにフィードバックし、学生は到達目標に向かって、学習を進めていく、これが授業です。

 授業の到達目標に「生成AIを活用してレポートをブラッシュアップできる」といった目標を設定すれば、プロセスを成績として評価することも可能になります。生成AI導入期の現段階であれば、そのような到達目標を定めるのはありかもしれません。しかし、レポート課題は生成AIに頼らずに作成したいという学生は一定数いるため、生成AIの活用スキル獲得を到達目標に含めるのは、慎重な検討が必要です。

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レポート課題と生成AI

 結局のところ、レポート課題をどのように評価するかという問題は依然として残ります。私の場合、採点基準を上げています。一文が長くて伝わりにくい、主語が抜けている、誤字があるなどは、生成AIを使えば簡単に修正できます。とはいえ、生成AIを使わない人もいます。使えるという条件は一緒でも、使っていない人が一定数いるので、同じ評価基準で評価して良いものか、悩ましいところです。

 レポート以外でも評価の問題はあります。たとえば、知識がいろいろなところから入手できるようになっている中で、用語暗記を問われるような筆記試験は、どれほど重要なのかなどです。これについては、別の機会に述べるとしましょう。

 いずれにせよ、生成AIが評価の問題を提起しているのは、間違いありません。そして、この問題については、まだ明確な答えがあるわけではありません。ただ、少なくとも「プロセスを評価すればよい」という一言で解決するほど単純な問題ではないでしょう。生成AI時代の教育を考える上で、評価のあり方はこれから避けて通れないテーマになりそうです。

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